2020/12/20 23:40
作品名:「horse」from "Florence Re-Vision
作家名:アンドレア・グアスタヴィーノ
技法:銀塩写真
サイズ:11 4/5 x 9 in 30 x 23 cm
制作年:2020年
制作地:フィレンツェ、イタリア
サイン:あり
今回ご紹介させていただきたい記事は、MOMOZONO ARTE DELLA SARTORIAが生産工房のアトリエを構えるイタリア、フィレンツェで同じく活動している海外アーティストの作品についてです。
オンライン上でのインスピレーション+コンセプトストアMOMOZONO ARTE DELLA SARTORIAでは、イタリア人のアナログ写真家(Andrea Guastavino)アンドレア・グアスタヴィーノのオリジナル写真シリーズ"Florence Re-Vision”からの作品を数点お取り扱いさせていただいております。"Florence Re-Vision”は写真家グアスタヴィーノが指揮を務めるプロジェクトで、全ての写真は彼自身が活動の拠点であるイタリア、フィレンツェで偶然発見された19世紀初頭の匿名のネガからアナログ印刷されています。中には異なるイメージのネガを何度も重ねて焼き上げ、手間がかかる独特な手法で完成させられた作品もあります。また、グアスタヴィーノは2017年、イタリア、フィレンツェのコンテンポラリーアートギャラリーZUCにて同じタイトルで展示会を開催しています。
Andrea Guastavino(アンドレア・グアスタヴィーノ)
1970年イタリア、ジェノヴァ生まれ。The Academy of Fine Art of Ravennaで芸術を学んだ後、1994年からヨーロッパを中心に、多方面からグループとしても展示を開催。
Biennale d’Arte Romagnola at the National Gallery of Art in Cesena (Italy,1996)
London Art Fair in London(United Kingdom, 2018)
"Florence Re-Vision”
"Florence Re-Vision"は、過去のフィレンツェの覗き見をテーマとしたプロジェクトで、その目的はただの再訪だけでなく、再発見することを意図しています。かつて存在したイメージを振り返り、そこに気を配りながら観察することで、時間を超越した視点に達します。写真家グアスタヴィーノは、箱に入った古いガラスのネガを見つけた機会をきっかけに、500枚程度の写真を丁寧に選び、彼の暗室で伝統的な手焼き印刷をする企画を生み出しました。すべての写真は、19世紀初頭、匿名の人物によって撮影されたものだと想定されています。そこに写し出された、アイデンティティー不在の繊細で宝物のような未発表の記録とフィレンツェの窓を開け飛び込んでくる何気ない日常生活、全ての過去の記憶の断片は、写真家アンドレア・グアスタヴィーノの手を通してコンテンポラリーな目線で再表現されています。静寂の中で伝わる情熱と古い物語を解体したパラレルワールドの感覚を導きます。
銀塩写真(アナログ写真)にこだわりを
銀塩写真(アナログ写真)は、今日ほぼ需要が失われてしまった、従来伝統的に存在している暗室の中で化学反応を利用し写真を手焼きするという技術です。特有の酸性化学薬品に浸された水桶にガラスに写った光と陰を巧みに操り、そこに写されたイメージを実際の写真に仕上げるという手作業は、非常に複雑でリスクが高く出来上がりの質を極めるには大変多くの経験が必要となります。アナログの写真に特にこだわりとアナログ印刷の腕を持つ写真家グアスタヴィーノは、現代のアルケミストとして、時間のかかる伝統技術をあえて使用し、現代アートに落とし込む特有の作風を持っています。デジタル写真のクオリティーと表現力が多方面に進化している今日、時代の流れと全く逆行しているように思われるアナログ写真には、手間が余計にかかる分、本物の質にこだわった渋い味が極めてあります。
アナログの写真のように質の高い技術が今後失われてしまっていくことは、非常に残念で仕方がありません。写真家アンドレア・グアスタヴィーノのように古いアナログ印刷技術をあえて現代でも残しつつ、伝統から革新へまたクラシックからモダンに作品を提案し続けるアーティストは、テクノロジーの進化とデジタル写真が主流になる今後さらに貴重で大切な存在になってくること間違いありません。